モノには物語がある…作り手の想いを伝える雑貨店

tortie(トゥーティー)
久留米市田主丸町野田1641-4
■代表者: 一木 ちはる
■創業: 2023年4月3日
 
■TEL: 090-2510-7895

事業内容

日用雑貨や文房具、インテリア雑貨、照明など、日常が少し素敵に輝いて、クスッと笑えるユーモアが感じられるような、幅広い雑貨を取り扱う。オーナーの一木ちはるさんはインテリア雑貨の販売・バイヤー・マネージャー、全国展開する大手雑貨店の販売などを経験し、独立。

About us 会社概要

布一枚の魔法に魅せられインテリアの道へ
住宅街にひっそりたたずむ、雑貨店「tortie」に並ぶのは、どれもストーリーのあるモノたち。入り口を入るとまず、大きなテーブルにディスプレイされた個性的な柄、温かみのある色合いの靴下が目に入ります。これらはどれも、素材にこだわり、身につける時に心地良いものをセレクト。また、壁や棚などを使っておしゃれに飾られたハンカチや傘、文房具などは、機能的でクスッと笑えるようなユーモアを感じられます。
何か手に取ると、「その雑貨は…」とデザインの由来や作り手の想いなど、商品に込められたストーリーを教えてくれるオーナーの一木ちはるさん。「tortie」にあるのは一木さんが自信を持って「これは間違いなく良い、長く使える」と選んだものばかりです。その審美眼が磨かれるきっかけとなったのは、大学生の頃の出来事でした。一人暮らしを始めた一木さんは、たまたま入ったお店で一枚の布を手にします。部屋に帰ってその布を広げた時に感じた「布一枚で部屋がこんなに変わる」という感動が忘れられず、インテリア雑貨店で勤務。商品知識や色の組み合わせなど、本格的にインテリアの勉強を始めました。ただ、その中で壁にぶつかります。


自信を持ってすすめられる喜び
雑貨を販売しながら気にかかるようになったのは、作り手の「想い」が、売り手にもお客様にもなかなか伝わらない、ということでした。特に、幅広い生活雑貨を取り扱う大手企業に転職してますますその想いを強くした一木さんは、「絶対に良い」と自分自身の言葉でお客様に伝えられる店を作ろう、と考えました。
「作り手の想いやモノに込められたストーリーを、お客様に直接伝えられたら、お客様にとっても嬉しいことだと思うんです」と一木さん。たった一つカードを買うにしても、単に「かわいい」と思って買うのと、「どのようなイラストレーターがどんな想いで作っているか」を知って買うのとでは満足度が違うもの。モノの物語を語る「tortie」は、こうしてスタートしました。
オープンして約2年。自分自身が「良い」と思えるモノを仕入れているので、お客様にも「絶対に良い」と自信を持っておすすめできるのがやはり楽しい、と一木さん。例えばお客様から「ギフトにしたい」と言われた時も、「きっと喜んでいただけると思います」と言い切れるのが、「雇われて働いてたときと一番違うところです」と話します。「tortie」ができるまで、セレクトした雑貨やインテリアを扱う雑貨店のなかった田主丸町で、一木さんの新たな挑戦は続きます。




Founding 創業計画

田主丸町商工会とのかかわり
経営の「け」の字も知らない私が、いきなり雑貨店を開いて経営する、と聞いた知り合いが商工会を紹介してくれました。商工会に相談したら、と言われても、「自分は会員でもないのに行ってもいいのか?」「ベテランの経営者が相談に行く場所じゃないのか?」と思っていたので、心の中のハードルが高かったです。

創業計画書を出して受けた融資の使途
最初の仕入れに充てたほか、什器などの購入費用に使いました。満足のいくものを仕入れたので、少し予算オーバーしましたが、借りられてよかったと思います。

最初にとりかかったこと
まだ何も取り掛かっていなかったため、商工会に行っても何の相談をすればいいのか、どんな話が聞けるのか全くわかりませんでした。まず事業計画書というものの存在を知り、開業のための費用や開業届など手取り足取り教えていただいて、コンセプトを考え、やっとお店としてスタートできました。あの時商工会に相談していなかったら、と思うと怖くなります。

Future その後の展開と未来への展望

車社会の町だからこそ、需要が予想と異なる
オープンしてから、ライトや額縁、ケーキスタンドのような、インテリア寄りの雑貨も取り扱っていたところ、田主丸町では靴下やタオルハンカチといった日用雑貨の需要が多いと一木さんは気づいたそうです。また、地域性も大きく関わってきました。たとえば手袋であれば、指先が出るタイプのものが好まれること。田主丸町は車社会なので、運転する時に手が滑らないものが必要なのです。傘は折りたたみ傘よりも、長傘。普段は車で移動するため、長傘のほうが便利だったのです。そういったニーズをとらえ、オープン後に少しずつ商品のセレクトを変更し、「今も手探りの状態です」と一木さんは話します。
意外だったのは派手な色・柄の靴下が好まれたことでした。最近では野外でのイベント出店に誘われることも多く、パッと目を引く靴下をたくさん持って行ったところ、最初に売れていったのだとか。田主丸町の生活に合うような実用的なものと、ちょっと冒険できるもの。そういった“田主丸町ならではの好み”を模索する日々です。

「好きなこと」を持ち寄って集える場に
「tortie」のターゲット層はもちろん、地元の方々。一木さんが引っ越してきた時には田主丸町に雑貨店がなく、「ちょっと手紙を書きたい」「ちょっとこういうモノがほしい」と思ったときに、パッと買いに行ける店をつくりたい、と思ったのも創業した理由の一つだからです。そういった、町の人々の需要だけでなく、気軽に買える値段設定も心がけています。特に子育て期間中は自分に割く予算が少なくなるもの。そんな時期にいくら良いものでも、高いとなかなか手が出ないため、手に取りやすい商品構成にしました。ただ、「長く使ってもらえる質の良いモノ、こだわりがあるモノ、背景を語れるモノ、自分が使いたいモノを仕入れる」というところは、揺るぎません。
今後は店内で、ちょっとしたイベントやワークショップを開けたら、と一木さんは考えています。たとえば、フラワーアレンジメントの先生を呼んでクリスマスリースをつくったり、手芸好きな人たちが集まる1日を設定したり…気軽に集まって、「ちょっとちくちく縫いませんか?」「編み物しませんか?」「おしゃべりしませんか?」と集える場をつくりたい、と一木さん。地元の人たちの日常が楽しくなる店としてだけでなく、好きなことを通してつながっていける場へ――「そういう夢ができたのも、勇気を出してお店を開いたからだと思います」。

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