未来を拓くスマート農業で、農家の作業をサポート
- 株式会社青空ミツバチ
- 福岡県朝倉市桑原333-1
- ■代表者: 小野 太一郎
- ■創業: 2022年5月31日
- ■TEL: 090-5929-5977
事業内容
農家の負担を軽減し、日本の農業に貢献することを理念に掲げ、2022年5月起業。ドローンによる農薬散布、肥料散布(粒剤)といったスマート農業サービスを提供する。
About us 会社概要
最新技術×機械工学の知識がスマート農業参入のきっかけ
ITを導入した新しい農業、いわゆる「スマート農業」で、地域の農家の作業をサポートする「株式会社青空ミツバチ」。「日本の農業の発展に貢献する」という理念のもと、朝倉市を拠点にドローンによる農薬・肥料散布の請負サービス事業を展開しています。従来の方法での農業を続ける方々が多いエリアで、代表の小野太一郎さんが最新の技術を提供しようと思い立ったのはなぜだったのでしょうか。ルーツをたどると、学生時代に起業につながる原体験がありました。
機械設計士の父の影響もあり、もともと機械や最先端の技術が好きだった小野さん。大学は機械工学科に進学し、学生時代に出始めた「Windows XP」をきっかけにパソコンにもはまりました。調べれば調べるほど、自分の知らない情報が手に入る。知れば知るほど面白い、楽しい。小野さんは知識を身につけることに熱中しました。当時から「新しい情報」への感度が高かったのです。学生のうちにCADの資格を取り、そこから機械設計士の道を歩み始めました。
海外のスマート農業を見て、幼いころの夢を思い出す
卒業後に就職した風力発電機の中の歯車装置を作る会社でも、当時の最先端の技術を学んだ小野さん。さらに簿記や税務関係も勉強し、仕事を介して経営者と話す機会が増えるにつれ、かすかに、独立開業したいという想いが生まれます。そして2019年、ニュースで海外の梨農園が、ドローンを使って受粉作業を行っている光景を目にします。
当時は手作業で受粉することがほとんどだったため、小野さんはドローンで一気に撒けることに驚いたそうです。未来の農業の可能性に触れ、ドローンを使ったスマート農業分野なら、自分の機械関係の知識を活かせるかもしれないと考えました。何より、「農業に携わりたい」という子どもの頃の夢も思い出していたのです。幼いころによく訪れていた、叔母の梨農園。兄弟でおいしい梨を食べたこと、「梨農家になりたい」と言った記憶が蘇ってきました。もう一度、その夢を追いかけてみよう――小野さんは、ドローンを活用して重労働と言われる農作業の負担を軽減するべく、起業に向けて走り出しました。
Founding 創業計画
起業までの準備期間について
農薬散布におけるドローンの操縦に免許は不要ですが講習を受ける必要があります。講習を受けてみて「できる」と実感し、企業の準備にとりかかりました。商工会に相談前に、数値目標や経営計画はある程度立てていたものの、約2年の準備期間をとり、念入りに計画・下準備しました。
青空ミツバチのブランディングについて
かつて税理士事務所で働いていた時に、理念を持ち、理念のもとに経営していくことが会社として大切だと多くの経営者を見ながら学びました。私も準備期間中に考え抜いた社名をつけ、自分のミッションやビジョン、コンセプトを固めて、何を優先するかを考えた時に、困っている農家さんを助けたい、という想いに行きつきました。
マーケティングリサーチについて
農薬散布についてもいろいろと調べ、近隣の状況や競合他社などリサーチし、「福岡県ではヘリコプターでの農薬散布はあるが、ドローン自体があまり普及していない」との結論に至って、チャンスはあると考えました。
田主丸町商工会に相談して助かったこと
商工会の担当者が金融機関出身であったこと、そして中小企業診断士の先生にも同席してもらえたので、客観手的に創業計画書をチェックしてもらえたことが助かりました。創業する時は、どうしても頭に血が上って、自分が無敵になったような気持でいるので、経営計画を冷静に見てもらえることは重要です。
Future その後の展開と未来への展望
理念を追求することが、自社の差別化に
「株式会社青空ミツバチ」が大切にするのは、「農家さんを助けたい、農業に貢献したい」という想い。この理念が事業を進めるうえで、すべてにおいての判断基準、選択の理由になると小野さんは考えます。この理念をもとに、農家さんの栽培のタイミングや農地に合わせたドローンでの農薬散布計画を、リーズナブルに提供できるのが「青空ミツバチ」の強みであり、差別化につながります。
たとえば、隣り合っている水田でも田植えの時期が異なると、農薬を散布する時期も変わってくるものです。ヘリコプターでの散布は大きな面積を一気にこなすことができる反面、実施日時の融通がききにくく、散布範囲を細かく設定できないなど、農家さんの真のニーズに応えられない部分がありました。一方、ドローン散布であれば、実施日時だけでなく、「水田の際までまきたい」「ムラなくに丁寧にまいてほしい」といった細かい要望にも応えることができます。また、区画ごとに散布でき、音は静か。1反(約1000㎡)あたりの価格も抑えられます。理念は結果、それぞれの農家さんに合った丁寧な対応へとつながっているのです。
ミツバチチームで農家さんを助ける未来へ
新規顧客は口コミで着実に増えていますが、逆をいえば、口コミ以外の営業が実績につながることが少ないのが、“新しい農業”のネック。ドローンに興味はあっても、実際に散布しているところを見たり、評判を聞いたりしないと、こだわりのある農家さんほど、納得しての依頼につながりません。信用できない人には自分の農作物を任せられないからです。「良さ」をわかってもらい、少しずつスマート農業が広がって農家さんの負担が減らせれば、と小野さんは願っています。
今後の夢を小野さんに尋ねると、「ミツバチ軍団をつくりたい」との答えが返ってきました。農薬散布を一人でもできるようなシステムをつくり、青空ミツバチのメンバーがあちらこちらの田畑で農家さんの力になっている…そんな、小さいミツバチが大きなチームとなって日本の農業に貢献している未来を思い描いています。