若年層の来場促進に向けて 養鯉場の環境整備

丸筑魚苑
久留米市田主丸町野田256-4
■代表者: 小西 瑛士
               
■補助金採択日: 2024年11月26日
             
■支援内容: 事業承継実現補助金

事業内容

1982年に現代表の父・健治さんが創業。錦鯉の代表品種である「紅白」「大正三色」「昭和三色」を中心に生産・販売を行っている。2024年の九州地区総合錦鯉品評会で総合優勝を果たすなど、生産する錦鯉は関係者の間で高く評価されている。

About us 会社概要

九州屈指の生産規模、品評会でも高評価
現代表である小西瑛士さんの祖父がこの地で養鰻業をはじめ、1982年に父の健治さんが錦鯉の生産を開始。以来、43年の歴史を刻んでいます。九州で20以上ある錦鯉生産業者のなかで、3指に入る生産規模を誇ります。
ものによっては1本で数百万円の値が付く錦鯉の世界。個人愛好家に加え、生産者間でも売買が行われています。例えば丸筑魚苑では錦鯉の〝御三家〟と言われる「紅白」「大正三色」「昭和三色」を中心に生産していますが、それ以外の品種は他の業者から購入しています。また、自社で生産している品種であっても、違う環境で育った錦鯉を繁殖用として仕入れることもあります。
生産者として評価を受ける場が、鯉の色彩・体型・模様の美しさなどを競う品評会です。全国各地で開催されており、九州地区では12月に最大規模の品評会が久留米市で行われます。丸筑魚苑産の錦鯉は2024年に総合優勝を果たすなど毎年のように好成績を収めています。自分たちの生産した錦鯉が高い評価を受けることで知名度も上がり、愛好家たちに注目されるため、品評会の成績は値付けや売り上げに直結することになります。

SNS効果で若い世代の来訪者が増加
品評会の影響もあって丸筑魚苑を訪れる愛好家は増えていますが、愛好家というのは限られた層の人たち。年齢的にも70代以上が多いため、これからのことを考えると若い世代のファンを増やすことが業界全体の課題となっています。
幼少期から錦鯉が身近な存在だった小西さんは、中学生の時には家業を継ぐことを決意。健治さんのもとで知見を深めてきました。その一方で錦鯉の魅力を広く知ってもらおうと、奥様の協力を得ながら2020年からインスタグラム、2022年からはYouTubeで情報発信を始めました。品評会の様子や鯉の選び方、飼育のコツなどをアップ。中には20万回再生された動画もあり、若い世代や外国人バイヤーなどの新規訪問につながっています。
敷地内にはソファや椅子に座ってくつろげる鑑賞スペースも用意していますが、課題は老朽化した和式トイレでした。リピーターを増やし、快適に長く滞在してもらうためにも、トイレ改修は避けて通れない取り組みでした。




Business restructuring 事業承継実現補助金

・田主丸町商工会への相談のきっかけ
健治さんの代に経営革新計画の策定で支援を受け、小西さんも青年部に所属するなど商工会とは以前から付き合いがありました。老朽化していた和式トイレの改修を検討するなかで、補助事業として実施できないか相談に行きました。

・実施内容と成果
ちょうど事業承継のタイミングであったことから、福岡県事業承継実現(経営改善事業)補助金を活用することに。事業承継後の取り組みとして、さらなる来場促進を図るためのトイレ改修、SNSによる情報発信強化などを掲げました。このうち洋式トイレへの改装を補助金事業として申請。若い世代や外国人などを中心とした新規顧客の来場やリピーター獲得が期待できるとして、承認を得ました。
計画承認後の2024年12月3日にトイレの改装に着工し12月25日に完成。直後の2025年1月に小西瑛士さんが代表に就任しました。

Future その後の展開と未来への展望

「錦鯉は高価」のイメージを払拭したい
SNS効果もあって20代を含む若い世代の来場者も増えています。金魚や熱帯魚を飼っていた人がSNSを見て錦鯉に興味を持ち、見学に訪れるケースも多いといいます。小西さんは「来場者の平均年齢は他の同業者に比べて、かなり低い方だと思います」と語ります。
SNSでは「錦鯉は高価なもの」「池付きの庭を持つ富裕層の趣味」といったイメージの払拭も目的の一つ。「数百万円の値がつく錦鯉がいるのも事実ですが、それはほんの一部。うちでは500円から買えますし、最初は数千円の錦鯉からスタートする方が多いです」。
意外と知られていませんが錦鯉は水槽でも飼うこともでき、ホームセンターで販売しているような大型プールで飼育する人も最近は増えています。自宅で飼うのが難しいという人向けには、養鯉場での預かりサービス(有料)も行っています。そうした情報も含めて、SNSの発信にこれからも力を入れていく予定です。

愛好家同士の交流にも寄与
小西さんがこの仕事を継ごうと思った理由の一つが、錦鯉を通じた人と人の交流に魅力を感じたからでした。
「小学生の頃から養鯉場に来る人と話をするのが好きでした。私たちの仕事は錦鯉を販売して終わり、というものではありません。品評会でいい成績が取れたら出品した愛好家の皆さんと祝勝会を開き、そこでは錦鯉の話が尽きません。養鯉場以外でもバーベキューを楽しんだり、ゴルフに一緒に出掛けたり、愛好家さんたちの間で交流も広がっています。この養鯉場はコミュニティの場、交流の場でもあり、今回トイレを改修したことでより快適に過ごしてもらえるようになりました」。
小西さんたちのように愛好家との間で積極的にイベントを企画し、ファンを増やすための情報発信を行っている生産者はまだ少ないのが現状です。
「田主丸は水質もよく、元気で強い錦鯉が育ちやすい環境です。養鯉場は耳納連山の麓にあり、壮大な自然の中で錦鯉が優雅に泳いでいる姿を見ることができます。この田主丸の地から錦鯉の魅力を全国、全世界の人たちに発信していきたいと思っています」。