訪問看護の利用者も、その家族も、働く看護師も笑顔に

まこ訪問看護ステーション(株式会社NCS)
久留米市田主丸町田主丸517-2
■代表者: 池之野正幸
■創業: 2025年3月1日
 
■TEL: 0943-73-7608

事業内容

2025年4月に開業した訪問看護ステーション。体温・血圧測定などの健康観察をはじめ、点滴・カテーテル管理などの医療処置、生活支援、リハビリなどを行う。田主丸町を中心に久留米市、うきは市、朝倉市など、車で片道45分圏内が基本的なサービスエリア。

About us 会社概要

訪問看護に深く・広く関わり、知識とノウハウを蓄積
老人ホームでの高齢者支援を皮切りに、医療機関の障害者病棟や急性期病棟で看護師として勤務してきた池之野正幸さん。コロナ禍における厳しい現場を経験するなかで、看護師の待遇改善や働きやすい環境づくりへの思いが心にあったと言います。2022年に飯塚市で訪問看護ステーションの管理責任者に転じ、サービスの立ち上げから営業・訪問看護・仲介・レセプト(診療報酬明細書)作成まで一連の業務を経験しました。訪問看護に関する幅広い知識・ノウハウを蓄積できたことで独立への思いが強くなり、「生まれ育った地域で支援を必要としている人の役に立ちたい」と田主丸町での起業を決意しました。創業にあたっての最大の課題は資金の確保でした。訪問看護はサービス料金の7~9割が医療保険や介護保険から支払われますが、事業者に報酬が入金されるのは2カ月後。例えば4月に実施したサービスの利用料金は6月末に支払われます。そのため、少なくとも4~6月の運転資金を確保する必要があり、事業所の開設・改装費用も必要でした。創業に向けた情報収集の中で商工会の創業支援を知り相談。創業支援塾を受講したことで特定創業者に認定され、通常より低い金利で融資を受けることができ、開所の目途がつきました。

培ったネットワークで利用者を確保
開業にあたってもう一つの課題はサービス利用者の確保でしたが、池之野さんは地元の田主丸中央病院をはじめ、医療関連施設で長年勤務してきた経験から、医師やケアマネジャー、訪問介護ステーション関係者など幅広い人脈がありました。また、その親しみやすい人柄や高いコミュニケーション力により、地域でも民生委員や区長など多くの知人がいました。こうしたネットワークを通じて、2025年4月のサービス開始前から利用者の紹介があり、4人の利用者を抱えた状態で事業をスタートすることができました。




Founding 創業計画

・田主丸町商工会への相談のきっかけ
創業に向けた情報収集を進める中で、知人に相談したところ、各地域の商工会が創業支援を行っていることを教えてもらいました。自らの出身地である田主丸町での開業を考えていたため、田主丸町商工会を訪問しました。

・創業に向けて受けた支援内容
2024年夏、指導員および中小企業診断士から「経営」「財務」「販路開拓」「人材育成」について学ぶ4日間の創業支援塾を修了し、特定創業者として認定され、低金利で融資を受けることができました。開業後も中小企業診断士から経営に関するアドバイスを随時受けています。

・創業計画書を提出して受けた融資の使途
事務所の内装工事のほか、事務用品の購入やホームページ制作費に資金の一部を充てました。医療保険・介護保険報酬はサービス提供から2カ月後に支払われるため、残金は運転資金として十分に確保しました。

Future その後の展開と未来への展望

利用者増加で新規スタッフの採用を計画
開業前は「利用者を安定して確保できるか不安だった」という池之野さんですが、開業後も医師からの紹介は途切れず、「田主丸の利用者さんをそちらで見てもらえないか」と同業者からの依頼もあり、利用者は増え続け、9月末には20人に達しました。久留米市中心部と異なり田主丸町には訪問看護事業者が少ないため、需要にサービスが追いついていない状況もあります。
現在の常勤スタッフは池之野さんと看護師の奥様だけで、月間のべ240件を二人で訪問しており、池之野さんは訪問看護に加えてレセプト業務など経営全般も担当しているため、スタッフ採用が急務です。「看護師のほか、リハビリ対応のため理学療法士も採用したいのですが、今はどこも人手不足で募集をかけても簡単には採用できません。知人の看護師などにも声掛けしているところです」と話します。

看護サービス以外の事業も構想
池之野さんが目指すのは「依頼はなるべく断らない訪問看護ステーション」です。「必要な看護を受けながら自宅で生活したい方を、まずはしっかり支援していきたいと思っています。ただ、なかには看護に疲れ切っている家族もいます。そういう時は利用者さんに一時的な入院を勧めることもあります。そうしないと家族が倒れてしまうからです。それぞれの家庭の状態も把握しながら、医療機関との間に立って入退院を調整していくことも僕たちの役割だと思っています」。
もう一つの目標は、頭の隅にずっとある「看護師の待遇・地位の向上」です。看護師の大変さを身をもって知るだけに、「働きやすく、将来に希望を持てる職場にしていきたい」という思いが強くあります。そのため将来的に構想しているのが、訪問看護以外の事業の立ち上げです。「例えば料理が得意な看護師がいれば手作り弁当の販売や飲食店の経営をしてもいいと思っています。事業として成り立てば、スタッフの給与を上げることもできます。『看護師の仕事はきつくて大変』というイメージを覆し、皆が楽しく前向きに働ける会社にしていきたいですね」。そう言って目を輝かせる池之野さん。その挑戦は始まったばかりです。