日本の伝統美を体現した錦鯉は、まさに泳ぐ宝石!
コアな愛好家だけでなく、一般ファンの獲得を目指す。

丸筑魚苑
福岡県久留米市田主丸町野田256-4
■代表者: 小西 健治
■創業: 昭和59年1月1日
■計画承認日: 平成30年3月31日
 
■TEL: 0943-73-2852

錦鯉に魅せられ養鯉業へ…独学で学び、品評会で入賞するまでに

赤や白…、くっきりとした艶やかな色彩をもち、水の中を悠々と泳ぐ錦鯉。その姿は宝石にも例えられ、ダイナミックな迫力に魅せられる愛好家は多い。
近年は、海外にまでその人気が広まり、今や錦鯉はクール・ジャパンの一翼を担っている。 しかし、錦鯉の本場は新潟県。
「子どもの頃から、錦鯉が好きだった」。
「丸筑魚苑」の小西健治さんは、その一念だけで田主丸で初となる養鯉業者として、昭和59年に創業。独学で飼育技術を磨いてきた。

耳納連山の麓、周囲には田んぼが広がるのどかな場所で、錦鯉の御三家と言われる「紅白」「大正三色」「昭和三色」をメインに生産している。
長年、錦鯉の養殖に励んできた甲斐あって、世界一の錦鯉を決める「全日本総合錦鯉品評会」では、常に入賞を果たしている。

子ども時代の夢を、家族で共有。そして夢は海を越える…

錦鯉との出会いは子ども時代
「錦鯉は、餌をくれる人をちゃんと分かっていて、近寄ってくるんですよ」と、小西さん。子どもの頃から錦鯉を飼っており、その美しい姿はもとより、錦鯉の人懐っこい性格に強く惹かれたという。
何もかもが手探りだったという子ども時代を含めれば、飼育歴は50年以上。
大人になっても忘れることのなかった錦鯉への愛情が、現在の「丸筑魚苑」の基礎となっている。

美しい錦鯉作りは、今や家族の夢に…
子どもの頃から続く錦鯉への愛情は、今や妻のしづみさん、息子の瑛士さんとも共有。
現在は、家族が一丸となって養鯉業に励んでいる。
錦鯉は一度に数十万の卵を産むが、商品になるのはその中でもわずか0.1%。生育の各段階で繰り返される選別作業も、家族のチームワークで成し遂げている。
3人とも人当たりの良い、穏やかな物腰で、錦鯉の見学に訪れた客にも実直に対応。 「錦鯉を買わなくても、いつでも見に来て欲しい」と、笑顔で話してくれた。

豊かな自然が育む、色とりどりの錦鯉
耳納連山を背景に、雄大な筑後川が流れる筑後平野。そのほぼ中心に位置する田主丸は豊かな自然に恵まれ、錦鯉にとっても最適な環境と言える。
「丸筑魚苑」の横には豊富な水を湛える水路が流れ、周囲にはのどかな田園風景がどこまでも続く。
夏でも涼しい風が吹き抜けるこの場所で、人々を魅了する錦鯉が生まれている。

海を越えて広がる、愛好家のネットワーク
近年、錦鯉の魅力は海を越え、海外の愛好家も多い。
錦鯉に同じ柄は一つとしてないが、個体の見分けがつく魚というのは珍しく、海外客にとってはそれ自体がカルチャーショックであり、魅力でもあるのだとか。
「丸筑魚苑」にも、ドイツやベルギー、中国やマレーシアなど、国際色豊かな客が訪れる。 海外客の対応は、英語が堪能な息子の瑛士さんの担当。今後も増加が見込まれる海外客とコミュニケーションが取れる、頼もしい後継者だ。




経営革新計画を策定してみようと思ったきっかけは?

養鯉業という福岡県でも珍しい業種であるため、「せっかくならチャレンジしてみませんか?」と、指導員さんに声をかけてもらいました。
限られた愛好家にしか飼えないと思われている錦鯉ですが、実はとても飼いやすい生き物です。
経営革新で打ち出した新サービスを機に、一般の方々に錦鯉を身近に感じてもらえればと思っています。

経営革新計画の内容

Q. 新サービスの概要と、その新規性を教えてください。
経営革新の内容は二本立てになっており、一本目は「一般客向けの錦鯉の預かりサービス」です。
これまでは品評会に出品するため、より良い環境を求める愛好家向けのサービスでしたが、近年は住宅事情の変化により、錦鯉の飼育環境を作ること自体が難しくなっています。
そこで、自宅に池がなくても気軽に錦鯉をペットにできる「一般客向けの錦鯉の預かりサービス(年間2万円〜)」を始めることにしました。
この新サービスでは、自宅に錦鯉を持ち帰ることなく、休みの日に養鯉場に来て、ゆっくりと鑑賞してもらうことができます。

二本目は、「水槽で飼育できる小さいサイズの錦鯉の販売」です。
じつは錦鯉は水温や水質の変化に強く、飼育しやすい生き物なんです。
10cm程度の小さいサイズの錦鯉なら熱帯魚用の水槽でも飼えますし、留守にする場合は1〜2週間ほど餌やりしなくても大丈夫。
錦鯉は、大きさにもよりますが数百円〜の手頃な価格で販売していますし、金魚や熱帯魚のような感覚で飼育してもらえればと思います。

Q. 将来の展望は?
「錦鯉は富裕層の趣味、広い池がないと飼えない」というイメージを払拭したいですね。上記のサービスにより、「錦鯉は誰にでも簡単に飼育できる」と一般の方々にPRしていこうと考えています。
市場を広げるのも大切ですし、それに何よりも錦鯉の魅力を多くの人に知ってもらいたいんです。
錦鯉を買わなくても良いので、見学だけでも気軽に訪れていただきたい。
将来的には「鯉カフェ」として、コーヒーでも飲みながら、錦鯉を眺められるようにしたいですね。

経営革新計画を策定してみていかがでしたか?

Q. 策定期間中、どんな支援を受けましたか?
たくさんある書類の作成などを中心に手伝っていただきました。
今回の経営革新の書類は、いろんなことに応用できますよね。
小規模事業者持続化補助金にも応募しましたが、申請などには公募期間が短いものも多いし、今回まとめたことが他にも活きてくると思います。
それと、やっぱり商工会さんには情報がたくさんありますね。
税務や融資に関する知らない制度がたくさんあって、それらを教えてくれるので助かっています。

自社PR

50年分の経験が蓄積した、飼育のノウハウ
錦鯉のことなら何でも相談してください。池の造り方など秘策を伝授しますよ(笑)
錦鯉の模様は生まれ持ったものですが、色の鮮やかさは餌などで調整することができます。
うちで使っている餌は、藻の一種であるスピルリナ入りのものですが、これだと発色がよくなります。人間でも美味しく食べられるんですよ。
もちろん、「池がない」「マンションで買いたい」といった相談もお受けします。

日本人に伝えたい、ニッポンの伝統美・錦鯉の世界
田園地帯にポツンとあるため驚かれますが、養鯉場は自然が豊かなとても良い場所にあります。
将来的には「鯉カフェ」を計画していますが、今でもどんどん見学に来てもらいたいと考えています。
常連客のなかには、朝から夕方まで錦鯉を眺めている方もいらっしゃいますよ。
海外のお客さまも大切ですが、やっぱり日本人のお客さまに、日本の伝統美である錦鯉をもっと身近に感じていただきたい。
「錦鯉は高級」「立派な池がないと飼えない」というイメージを払拭して、錦鯉の魅力をできるだけ多くの人に知ってもらいたいですね。

この事業者のサイトを見る(外部リンク)