農業は、無限の可能性を秘めている… 奇跡の木・モリンガの薬草園で、地域を元気に!

株式会社 産
福岡県久留米市田主丸町八幡1338-1
■代表者: 高山 憲行
■創業: 平成25年5月29日
■計画承認日: 平成29年6月30日
 
■TEL: 0943-72-1991

新しい農業を創る!有機栽培で地域と農家を元気にする

農薬や肥料を使い、生産性を極限まで高める。そんな現代農業に疑問を持ち、有機栽培に農業の未来を見出した「株式会社 産」。地元の人々の協力の下、地域の活性化を掲げて作られた農業生産法人だ。
代表の高山さんは、農業高校の校長先生まで務めた人物。退職後、有機農法を学び直し、その普及のため一般の方々にも教えている。
「産」では70aの農地を有し、有機栽培を自ら実践。栽培された有機野菜は、自社運営の「筑後川の駅 しばかり」で販売する。「しばかり」には、高山さんに賛同する地元農家からも有機野菜が持ち込まれ、いろいろな種類の野菜が揃っている。
また他との差別化を図るため、3年前より薬草の栽培を開始。栄養の豊富さから「奇跡の木」と呼ばれるモリンガをはじめ、薬効の高いバジルの女王・ホーリーバジルの栽培などに励んでいる。
自ら栽培しながら、栽培方法や商品への応用などをまとめた「栽培マニュアル」を作成。地域活性化のため、地元の農家などに配布している。
直営の野菜畑の管理、店舗運営、産直野菜のネット販売、卸販売など、さまざまな事業にチャレンジしつつ、より良い農業の在り方を模索する。

有機野菜とスーパーフード、希少性のあるユニークな商品づくり

日本でわずか3%!貴重な有機野菜を販売
日本で有機農業を営む農家は、わずか3%。手間がかかるうえ病害虫のリスクなど、農家にとっては高い壁が立ちはだかる。
そんな貴重な有機野菜を大規模に栽培する「産」。肥料の代わりに、微生物資材「えひめAI」に海のミネラルを加えた、独自の微生物活性剤「Ookubo Love」を使用する。
ヨーグルト、納豆、砂糖、イースト菌で作られる「えひめAI」に海苔を加えた「Ookubo Love」は、すべて食べられる安心素材。「しばかり」に農産物を持ち込む近隣農家にも推奨し、みんなで安全な有機栽培に取り組んでいる。
夏にはオクラ・キュウリ・シシトウ・ナス…と、日常野菜を中心に多品種の有機野菜が揃う。通常は2〜3割ほど高い有機野菜が、ここでは普通の野菜と変わらない価格で売られているのも大きな魅力だ。

これぞインドの神秘!90種類の栄養をもつスーパーフード・モリンガ
薬草を栽培するにあたり、「万人に効能を実感してほしい」と厳選したのが、桁外れの栄養素を含むモリンガ。原産国のインドでは、その栄養の高さから「奇跡の木」と呼ばれている。 ポリフェノールは赤ワインの8倍、ビタミンEはモロヘイヤの15倍、カルシウムは牛乳の20倍、ギャバは発芽玄米の22倍、マグネシウムは卵の36倍、そしてビタミンB2はイワシの50倍…と、含有する栄養素は、種類も量も規格外!
もちろん効能も、美容・ダイエット・アレルギー症状の緩和・糖尿病&高血圧の予防…と幅広い。
「産」では、このモリンガの栽培に福岡県で初めて成功。近年、スーパーフードとして注目を集め始めたモリンガの栽培を、近隣農家にも呼びかけている。




経営革新計画を策定してみようと思ったきっかけは?

有機野菜だけでなく「何か起爆剤になるものを」と考え、薬草の栽培を始めることにしました。ただ、以前から「ニーズのあるところに届いていない、マッチングがうまくいっていない」という懸念があり、ただ栽培して販売するだけではダメだと…。そこで「体験型薬草園の開設と、薬用作用加工品の開発」に乗り出すことにしました。

経営革新計画の内容

Q. 新サービスの概要と、その新規性を教えてください。
「体験型薬草園」では、来店されたお客さまに季節の薬草を摘んでいただきたいと思っています。
この症状にはこれが効くという西洋薬とは異なり、モリンガなどのハーブは自分の体をきちんと知っていないと意味がないんです。
そのため、対面販売はとても大切。お客さまとお話ししながら自分に合うハーブを見つけてもらい、その使い方などを考えていただきたいと思っています。
またワークショップでは、ハーブについて講義した後、薬膳カレーを作ったりします。薬草を生活の中に無理なく取り入れるお手伝いができればと考えています。
「薬用作用加工品の開発」では、モリンガの加工品開発を行っています。モリンガは栄養が豊富なうえ味や香りにクセがなく、加工しやすいんです。
うちのモットーは、「毎日楽しく食べられる」こと。パンやスイーツに加工して、美味しく食べていただきたいと思っています。色もキレイですし、子どもにもオススメなんですよ。

Q. 将来の展望は?
うちでは新しい農業を模索しています。ですので、できれば加工はパン屋さんやお菓子屋さんにお願いしたいと考えています。
うちの役割は、モリンガを広くアピールすることと、モリンガが加工品に向いていると証明すること。「モリンガを作れば儲かる」という道筋をつけ、農家さんやパン屋さんにマニュアルを提供することで、地域を活性化できればと思っています。

経営革新計画を策定してみていかがでしたか?

Q. 策定期間中、どんな支援を受けましたか?
今は農業が変わっていく、ちょうど境目にいると思います。
「農業を経営にする」、そのためには商工会の支援がとても重要です。数字にしてきちんと事業を見る。数字を元に計画を立てる。どちらも農家さんが苦手とすることですから。
本当は、農業ほどマネジメントが必要な商売はないのではないかと思っています。
うちも中小企業診断士の先生に、売り上げや利益率についてなど、数字で事業計画を見ることの大切さを教えてもらいました。
経営指導員さんにいろいろと話していることが、経営革新のおかげできちんとした書類になったのも大きいですね。自分の中のぼんやりとしたアイデアが、しっかりした計画になっていきました。

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農家が儲かるシステムづくり
草むしり一つとっても、農作業はとても大変です。だからこそ、農家さんの収入を増やすシステムを作っていきたいですね。
薬草栽培も、その試みの一つです。イチョウの葉っぱはドイツではサプリの材料として重宝されていますが、日本ではイチョウの葉っぱに効能があることさえ知られていません。
日本の伝統農法には薬草の知恵がたくさん詰まっていたのに、それが今では忘れ去られている。
それらを掘り起こし、ハーブの薬効などをアピールすることで、新たなニーズを喚起していきたいですね。

農業には、変えたら良くなる要素がたくさんあります。
農産品が工業製品のように生産される必要はありません。農業に大量生産・大量消費は合わないんです。
流通や情報発信がこれからどんどん発展していけば、本当に欲しい人に小ロットで届けることができるようになる。そうすれば、農業は劇的に変わると思っています。

農業はエンターテインメント!みんなが憧れる農業で地域の活性化を図る
定年退職後の方や若い方など、農業に憧れる人は確実に増えています。でも、そんな方たちの思い描く農業と、現実の農業はかけ離れているんですよね。ですから、その溝を埋めることも重要だと思っています。
ただ作るだけの農業ではなく、民泊を受け入れたり…。お客さまを農業の現場に呼び込み、楽しさを共有する。そんなエンターテインメント性も農業には必要です。

また薬草は、農業未経験の方にこそ勧めたい作物です。薬草は化学肥料を嫌うので耕作放棄地にぴったりですし、虫に強いため野菜より栽培が簡単なんです。
薬草が収入になるとわかれば、若い方たちがやってくれるでしょうし、そうすれば地方の活性化にもつながります。
「薬草で地方活性」。道のりは長いですが、頑張っていきたいと思います(笑)