高カロリーなシャリの代わりにおからを使う!
揚げとおからでジューシーな相乗効果

行徳謙吾商店
福岡県久留米市田主丸町田主丸296-1
■代表者: 行徳 征剛
■創業: 平成16年7月1日
■計画承認日: 平成31年2月28日
 
■TEL: 0943-72-3037

田主丸で歩み続ける「行徳謙吾商店」

設立は平成だが、じつは明治の昔から、田主丸のこの場所で商売を続けている「行徳謙吾商店」。明治時代には菜種油を製造していたと伝えられ、春になると今も筑後川の土手沿いに咲く菜の花は、当時の名残なのだとか。
その後、菜種油からこんにゃく製造へと舵を切り、大正時代になると豆腐の製造をスタート。現在は、豆腐とこんにゃくの2本柱で事業を展開している。
「あくまでもうちは食材屋」と言うのは、代表の行徳征剛さん。丁寧に選びぬいた素材を使い、その製法にも妥協はない。しかし、「毎日使うものだから、いかに安く提供できるかが大切です」と話してくれた。

シンプルだからこそ素材が活きる!厳選素材でつくる豆腐とこんにゃく

人間も豆腐も中身が大事!その名も「ブサイク豆腐」
表面がデコボコしている「ブサイク豆腐」。見た目は悪いがじつはこれ、豆乳が固まったいわゆる湯葉。筑後平野の肥沃な大地で育った大豆と、田主丸の温泉水、さらに瀬戸内海のにがりで作った大ヒット商品だ。
豆乳ににがりを入れ、固まるか固まらないかの絶妙なタイミングで豆腐パックにそのまま流し込む。表面から固まっていくため、出来上がりはまるで湯葉が張ったかのよう。
行徳さんいわく「筑後平野の大豆はふんばりがきく。根性がある」。そのため、まず口に広がるのは大豆の濃厚な味。温泉水が大豆の甘みを引き出し、まろやかな旨味を際立たせている。ザル豆腐のように水を濾すことがないため、食感はふんわり滑らか。さらに濃厚なのに後味すっきり、上品な味わいとなっている。
行徳さんが「ブサイク豆腐」を開発したのは、今から約10年前。当時は1日6丁しか作らなかったが、現在では100丁以上を仕込む。直売所や道の駅から人気に火がつき、地元のハローデイやゆめタウンからも出品のお誘いをいただいた。わざわざ電話で在庫を確認する人もいる、知る人ぞ知る人気商品となっている。

がめ煮におでん…冬場のこんにゃくは生芋から
こんにゃく芋の収穫は秋。毎年10月後半になると、「行徳謙吾商店」には山梨県の農家からこんにゃく芋がどっさりと送られてくる。こんにゃく芋の産地といえば群馬県が有名だが、こちらで仕入れるのは山梨産。富士山麓に広がる、山梨の豊かな土壌が良いのだとか。
「生芋から作るこんにゃくはまず、食感がちがう」と、行徳さん。弾力があるとともに、こんにゃく芋の風味もしっかりと感じられる。こちらでは秋〜翌年の4月まで、この生芋で作ったこんにゃくを提供する。
こんにゃくを練るのは、40年以上も前の古い「バタ練り機」。現在、バタ練り機を使う業者は少ないが、このバタ練りこそが“味しみ”と“食感”の決め手。バタ練りで作られたこんにゃくは、目には見えない小さな気泡をたくさん内包し、料理の味が染みやすくなる。
大手メーカーのものと比べても、煮込み時間は約半分。「こんにゃくが少しぐらい高くても、光熱費を考えるとこちらの方が安いわね」と、言ってくれるお客さまも多い。




経営革新計画を策定してみようと思ったきっかけは?

最近では、回転寿司店などでシャリを食べない女性が多いと聞いたのがきっかけです。ダイエットや健康のために食べないということだったので、だったらおからを使ってみたら良いのではないかと思って。そこで、昔から人気のイナリ寿司におからを詰めてみようということになりました。

経営革新計画の内容

Q. 新商品の概要と、その新規性を教えてください。
「ヘルシーなおからイナリ寿司の商品開発」です。最近はダイエットのためにご飯を食べない人が増えているので、それならご飯の代わりにおからを使ってみようということになりました。それで、イナリ寿司のシャリの代わりにおからを使ってみようと…。
おからを使うことでパサパサするかと思いきや、意外としっとり美味しくできました。もともとうちが惣菜で出しているおからはジューシーに仕上げていますが、イナリ寿司の油揚げともよく合います。
おからは低カロリー食品なので、健康意識の高い方にも喜ばれると思います。

Q. 将来の展望は?
将来的には、「イナリといえば酢飯」というイメージを変えたいですね。別に酢飯でなくても良いじゃないかと。イナリ寿司は昔から人気の定番料理ですから、高カロリーだからと敬遠するのではなく、おからを使ってヘルシーに仕上げられればと思っています。
また、うちの商品は豆腐もこんにゃくも冬場に消費されるもの。おからのイナリ寿司は、通年で売れる商品としても期待しています。

経営革新計画を策定してみていかがでしたか?

Q. 策定期間中、どんな支援を受けましたか?
昔から新商品の開発はよく考えていますが、いつもネックになるのが人手不足でした。家族経営のため人が足りず、新しいことをする余裕がない。
そこで経営指導員さんと相談して、「人手が足りないなか、どうすればやっていけるか」ということで事業計画を立てました。考えているうちに、回転寿司店などで使われている、シャリを握る機械を導入したらどうかという話になって。今年はちょっと人がうまく回らなかったので、来年こそ頑張りたいと思います。

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天然の地下水は耳納山麓の恵み
豆腐もこんにゃくも、作り方は単純です。でも、単純なものほど難しい。コツを覚えてしまえば簡単ですが、そこに行き着くまでが大変でした。素材も至ってシンプルですから、その分ごまかしが効かない。できるだけ国産素材にこだわっています。
それらの厳選素材をまとめるのが、田主丸の地下水です。田主丸一帯は地下水を使っていますが、なかでもうちの地下水は不純物がなく透明度が高い。ペットボトルの水より数値が良くて、保健所の方が驚いたほどです。
また、「ブサイク豆腐」には地元・田主丸の温泉水を使っていますが、1〜2km離れるだけで温泉の質って変わるんですよ。5〜6箇所を周り、雑味のない、大豆の甘みを最大限に引き出す温泉水を探しました。
水も、温泉水も、耳納山麓に位置する田主丸ならではの恵みだと思います。

食材屋として“安さ”にこだわる
昔はずいぶん新商品開発に力を入れていました。こんにゃくに練り込んだものは数知れず。抹茶にゴマ、わさびに桜えびといろんな食材を試しました。新商品として実を結ばないものも多かったのですが、こうした経験をすることで勉強になったし、知識も増えました。
これらの商品開発を通して私が行き着いたのは、「うちは食材屋だ」ということです。いろんな商品を出したいと思っていたのですが、最終的に「うちは食材屋だ」という原点に戻りました。毎日使う食材だからこそ、安い値段で提供しないといけないと思っています。
最近は、あんまり安すぎると原料を疑われることもありますが(笑)、それでも商売でズルいことはしたくない。利幅は薄くても、ちゃんとやっていけば、絶対に買ってくださるお客さまがいると思っています。