設備・機器の修理だけでなくレーザー機器も開発・販売、新たな事業にも挑戦

平和工業
久留米市田主丸町中尾1424-6
■代表者: 平田 和也
■計画承認日: 2021年7月29日
 

事業内容

自動車メーカーで設備開発・メンテナンスに携わってきた経験をもとに、2020年に中古設備の改修・メンテナンス・販売を主業務とする「平和工業」を創業。新たに溶接機などの機器を開発、販売も手掛けている。

About us 会社概要

海外を巻き込んだ事業計画が2020年に一転
18歳で自動車メーカーに入社して以降、組立設備のメンテナンスや改修に携わり、エンジニアとして活躍してきた平田和也さん。2020年に独立し「平和工業」を立ち上げてからは、設備機器に関するプロとして、これまでのような中古設備の改修・メンテナンスだけでなく多岐にわたる事業を手掛けてきました。開業を後押ししたのは、海外でも働いた経験もある、と話します。
「30歳からはインドネシアやマレーシアなどの東南アジアで働き、設備機器に関するニーズや、現地の人材を活用した事業の金額感を学びました」。海外の人たちを巻き込んだ事業を構想していた2020年、コロナ禍が契機となり工場が停止、半導体が不足して設備をメンテナンスしようにも材料がない状態が続きました。

レーザー機器を開発し、販路も自ら開拓
それでも、「今できることを」と中古の工作機械をはじめとするさまざまな機械の修理を行うほか、新たにアルミなど薄い板金の溶接ができるレーザー機器「ファイバーレーザー溶接機」を開発しました。薄さ1ミリほどのアルミの溶接は、経験を積んだ職人にしかできないと言われるほど難しいものですが、平田さんの開発した「ファイバーレーザー溶接機」を使えば、誰でも溶接ができるそうです。
しかも、依頼を受けてつくったわけではなく、世の中のニーズをつかんで独自に開発したものだと言います。販路を思案していたところ、溶接機を活用する業界としてガス関連会社があると気づき、営業活動の結果、順調に販売できるようになりました。今後は、経営革新計画にまつわる補助金を活用した、WebサイトでのPRにも力を入れていきます。




Management Innovation 経営革新

●田主丸町商工会に相談したきっかけ
コロナ禍です。仕事が決まっていても、途中で頓挫したり、半導体不足で依頼された整備や工事ができなかったりしました。この時期に、Webサイトをつくって新しい取り組みをはじめて事業領域を広げることを考えました。

●経営革新計画書での新たな提案
これまでは機器を仕入れた後に整備して販売していました。そのため、倉庫の大きさや資金調達の制限で取扱量にも限界があったのです。経営革新計画では、売買契約後に製品を仕入れ、整備して出荷する仕組みに変更し、在庫管理の必要性をなくそうと考えました。また、メンテナンスした中古設備の販売は商社経由でしたが、自社のWebサイトを立ち上げて、直接取引する計画を立てています。

●新規事業の課題
競合他社、それも大手が増えていることです。仕入れ時の資金力も違いますので、同じ土俵で戦っていくのは大変苦労します。下請け・孫請けにならない、直接取引を伸ばすことが課題です。

Future その後の展開と未来への展望

新たな案件が舞い込み新事業の基軸に
経営革新計画を申請した当時は、オーバーホールした設備と買い手をマッチングするWebサイトをつくる予定でしたが、今はまた状況も変わってきました。平田さんのところに、これまでにないような案件も舞い込むようになったのです。たとえば、ビル建築に必要な外部取付用の非常階段の製作。福岡市で建築中の新ビルの非常階段は、CADで図面を引くところから組み立てまで、平田さんが手掛けているそうです。
また、知り合いから「キャンピングカーをつくれないか」と相談もありました。キャンピングカーの外装は軽量なアルミでできており、平田さんが開発した「ファイバーレーザー溶接機」の本領が発揮できる分野です。「実際にキャンピングカーをつくってみたら、これが本当に楽しかったんです。この方向の仕事を増やしていくのも考えています」。

状況の変化と世界情勢に合わせて準備を
これまでの設備メンテナンス事業に加えて、開発した「ファイバーレーザー溶接機」の販売、新たに進めるビル設備の製作にキャンピングカーの製作…これだけにとどまらず、平田さんは次を見据えています。「世界情勢がどう変化しても、変わらずに電子部品を輸入できるパイプを今のうちにすべてつくりました。これまでのように『半導体が不足しているから修理や工事ができない』と、受け身でいることはもうありません」。
半導体が不足していた時は、リスクを考慮しながらの仕事だったと平田さんは言います。部品を入手できるとしても、万が一遅れてしまったら…お客様の会社の操業を止めてしまう責任は重大です。つくる、売るのみならず、アフターケアまでが仕事。そう平田さんは考えています。
さらに、これからのニーズを考え、従業員がプログラミング関連のスクールに通う支援をしているそうです。「これから絶対に、自動化の波はやってきます。そのために今必要な知識を身に付けているんです」。今できる事業は拡大しながら進め、状況がどう変わっても最善を尽くせるための準備をしておく――平田さんの一歩先を見る視点が、新事業につながっていきます。

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