100年企業を目指し、若い世代に向けた新商品を開発

鯉とりまぁしゃん 川魚料理 鯉の巣本店
久留米市田主丸町田主丸641-1
■代表者: 上村 政秀
■計画承認日: 2022年6月20日
 
■TEL: 0943-72-2451

鯉・ウナギ・鮎・フナなど川魚料理を提供する川魚専門店。2014年には福岡市に春吉店を出店し、従来の川魚料理の常識を覆す新メニューを次々に編み出している。その経験をきっかけに、本店で若い世代に向けた川魚の珍味や冷凍食品を開発中。

About us 会社概要

創業当初から変わらないこだわりを大切に
「鯉とりまぁしゃん」と呼ばれた鯉とり名人・上村政雄さんが1955年に田主丸町で創業した川魚料理専門店「鯉の巣本店」。三代に渡って70年以上もの間、川魚へのイメージが一新するおいしい料理を提供し続け、地域の方々に愛されてきました。創業当初から変わらず受け継ぐのは独自の調理法による澄んだ鯉の味わい、鯉のうまみをしっかりと堪能できる食べ方、そして鯉に合わせてつくられた自家製調味料です。川魚が苦手な人が必ずといっていいほど言う「泥臭さ」がみじんも感じられない調理法とは、いったいどういうものなのでしょうか。
「鯉の巣本店」には地下40mからくみ上げた地下水をたたえる大きなイケスを備えており、イケスの中で鯉を2~3日泳がせることで身が洗われて臭みが抜けるのだそうです。さらに門外不出の調理法で、口に入る時に確実においしくなるよう仕上げています。鯉本来の味を堪能するため、刺身に添えるのは数種類ブレンドしてほんの少し酢を入れた酢醤油とわさび。鯉の刺身によく合わせられている酢味噌は、味が強すぎて鯉の良さをかき消してしまうからです。「身のおいしさが際立つからこそ、シンプルな調味料で十分」と三代目・上村政秀さんは言います。鯉の味噌汁・鯉こくに使っているのは、自家製の味噌で、普通の味噌だとやや甘く、たっぷり使わないと味わいがぼやけるため、鯉こくにぴったりの麦味噌をもう70年間も作り続けています。

川魚の本当のおいしさを知ってほしい
店を70年も続けているうちに、時代の変化に合わせて食文化やニーズも変わってきました。川魚を食べる習慣が残っているのは、今や高齢者の方ばかりである状況を、上村さんは憂慮していました。加えてコロナ禍の影響もあり、「伝統は守りながら、若い人たちにも食べてもらえるよう、変えるべきところを変えよう」と、上村さんの試行錯誤が始まります。
アイデアの源泉となったのは、約8年前に福岡市中央区春吉に出店した「鯉とりまあしゃん 春吉店」でした。鯉をつみれにしてみたり、サラダと合わせてカルパッチョとして出したり、アヒージョを試してみたり。本店と違い、春吉店のお客様のメインは40代が中心で、30代や料理人も数多く訪れ、「鯉とりまぁしゃんの川魚はおいしい」と反響も上々なのだそうです。この春吉店での経験をもとに、テイクアウト商品、通信販売の商品を開発することになりました。




Management Innovation 経営革新

若い人向けのブランディングを意識したきっかけ
家業を継いだ約20年前から意識していました。店舗に若いお客様が来たとしても、ウナギを食べるかご家族に連れてきてもらっている人ばかりだったからです。「将来的に川魚の食文化は先細りする」という危機感を持っていました。

川魚の食文化を残すべく経営革新へ
経営革新計画を活用して、若い世代の嗜好に合わせた「川魚の珍味」を製造・販売・通信販売することを考えました。鯉のフレークやオリーブオイル漬け、ウナギの切り落としの肉パテ・肉みそ、ウナギの肝のパテ、スッポンの肝とショウガのパテなど、フレークやオイル漬けといった、若い世代になじみある調理法をうまく取り込んでいます。

新メニューの開発状況
目処が立ったので自分の知り合いに新メニューのサンプルを送って、改善点を探っているところです。この商品のクオリティを上げて、お店で食べるものに限りなく近い商品を作るのが開発のコンセプトです。

今後の展開
ふるさと納税への出品や、各種通販サイトでの店舗展開も考えています。

Future その後の展開と未来への展望

店舗に行きたくなる「うなぎせいろ蒸し弁当」
今「鯉の巣本店」で、もっとも商品化に近いのが、「冷凍うなぎせいろ蒸し弁当」です。目指したのは、店舗に行きたくなる味わい。「冷凍食品でこれだけおいしいのだから、店舗に行ったらもっとおいしいはず」と思ってもらえるように、味わいの面で一切妥協せずに開発を進めてきました。味わいをキープするには瞬間冷凍の方法が肝心です。試しに冷凍後2ヶ月以上経った試作品を食べてみたところ、味わいに変化がないことがわかり、商品化へ向けて拍車がかかりました。今後は食品展示会への出品や、百貨店への提案を考えています。
また、Web通販事業にも本格的に取り組む予定です。「これからWeb通販事業はますます拡大していくでしょう。鯉の巣本店の通販サイトはアンテナショップとしての役割を担います」と上村さん。大手通販サイトにオフィシャルショップを構えたり、ふるさと納税に出品したりとさまざま販路を開拓する予定です。
鯉とりまぁしゃんの名前を100年残すために
創業者・上村政雄さんが今生きていたら110歳。実際の上村政雄さんを知らない人も、「鯉とりまぁしゃん」のブランドネームを知らない人も多くなりました。三代目・上村さんは「飲食店で創業100年を目指したいし、初代への恩返しと考えると名前を残すことが大前提だと考えます」と話します。最近力を入れて取り組んでいる通販対応もその一つ。もはや実店舗よりWeb通販が強い時代に、地域だけでなく全国のお客様から認知され求められることで創業100年が見えてくると言います。
何より「僕がおいしい川魚料理をつくり続けることが大事」と上村さん。料理人にはゴールがなく、ゴールを自分でつくってしまうと成長が止まってしまうもの。お客様にも伝わってしまいます。「生涯現役、一生修行、もっとおいしくなる方法はないかと模索していきたいです」。川魚料理を広め、お客様に喜んでもらうために、そして自分を常に超え続けるために、上村さんの挑戦は続きます。

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