アートは楽しくて面白い!遊具やワークショップで感性を育てる
- 有限会社プレイグランドプロジェクト
- 久留米市田主丸町竹野1563
- ■代表者: 牛嶋 均
- ■計画承認日: 2022年6月20日
- ■TEL: 0943-72-4143
事業内容
1969年にオリジナル遊具の製造会社「牛嶋体育」として創業。2005年に「有限会社プレイグランドプロジェクト」と社名を変更し、オリジナル遊具の製作のほか、遊具の要素を取り入れた美術作品も創作。アートのワークショップなどを主宰する。
About us 会社概要
アーティストが手がける美術性の高い遊具
子どもたちが「天気の神様」と呼んで毎日楽しく遊ぶ、久留米市・田主丸小学校に設置された、雲のようなユニークな形の遊具。こういったもののほか、県外の芸術祭のために創作した芸術要素の高い作品など、遊具製作を中心に、幅広くワークショップなども手掛けるのが「有限会社プレイグランドプロジェクト」です。1969年にオリジナル遊具の製造会社として創業し、現在は2代目の代表・牛嶋均さんが引き継ぎました。「プレイグランドプロジェクト」創作に関わるのは、妻のオーギカナエさん、娘のウシジマキナミさん、息子の牛嶋太洋さん。家族全員がそれぞれジャンルの違う美術家でアーティストです。
もともとは自治体や学校、社会福祉協議会などから遊具の製作を依頼されたり、地元の公園の修理を頼まれたりしていました。近年は、奥能登国際芸術祭で石川県珠洲市に永久設置される遊具をつくったり、青森県十和田市に「U.m.a.(ウマ)」という作品を設置したり、福岡市美術館のキッズスペースのデザインをするなど、誰もがアートを楽しめる環境をつくりだしています。
子どもたちの豊かな心を育てるために
一般的に遊具メーカーには定番商品があり、注文を受けてつくりますが、「プレイグランドプロジェクト」はどれも完全にオリジナルのデザイン。発注者や設置する環境、そこに集う人たちのニーズを考えて創作されます。他に類を見ない芸術性の高い遊具には、それぞれのアーティストとしての感性が生かされています。牛嶋均さんはかつて、身体を使ったパフォーマンスをしていたそうで、「身体を使って遊べる遊具・彫刻という、パフォーマンスと美術を融合させたようなものができました」と話します。
また、アーティスト活動と並行してアートを教えるワークショップも続けています。幼稚園や保育園、小学校などでも開催され、長いところでもう20年以上も定期的に実施していたのだとか。ただ、コロナ禍がきっかけでそういった出張ワークショップは少なくなり、牛嶋さんたちは自宅を改築したアトリエで、アートを伝える活動をしたいと強く思うようになりました。そこで田主丸町商工会に相談し、補助金を申請。今後は新アトリエで「次の世代である子どもたちの感性を育てたい」と考えています。
Management Innovation 経営革新
経営革新の計画を作ったきっかけ
コロナ禍で私たちも仕事が激減し、2020年以降は人と触れ合うワークショップが開催しにくい状況でした。コロナ前にはもう戻らないでしょうし、だとしたら何かを新しく始めなければなりません。地域に根差して自宅で、子どもや大人向けの教室やワークショップを開催したいと考え補助金を申請しました。
経営革新で補助金が出てからの進捗状況
2023年7月の水害で、新アトリエにかなり土が入ってしまいました。ボランティアの方々に土砂をかきだしてもらい、畳も元に戻り、ようやく工事の続きが始まっています。今はフローリングを貼って子ども専用の流しも設置できました。2023年中には引っ越して、2024年からはアトリエで教室を開催したいと考えています。
新アトリエでの試みについて
子どものアトリエは絵画と工作の両方を取り入れて絵本や図鑑を作ったり、季節を考えながら描いた絵を本格的なカレンダーにしたりさまざまです。また水彩画などが楽しめる大人のアトリエも考えています。
Future その後の展開と未来への展望
「アートは自分を自由に出して大丈夫」と伝えたい
「美術表現は何も特別なことではなく、ちょっと何かを飾ることや、部屋の模様替えなどにも通じています。『普段の生活の中に美術があるんだよ』ということを伝えたい」とオーギカナエさん。「美術やアートは鑑賞するもの」と捉えると、自分と距離を感じることもあります。また、展示物の説明書きを全部読んで、アートを言葉で理解しようとすることもあるでしょう。そういった鑑賞や理解よりも「これが好き」「この中に入っていけそう」という感覚のほうが大切、とオーギカナエさんは話します。「もっと感覚を磨いて、生きることを楽しんでほしいのです」。
その想いを胸に、牛嶋さんたちはワークショップを開催しています。まずは「楽しい」「間違いなんてなくて自分の好きに描いていい」という感覚を感じてほしいそう。小さい子の中には、「うまくできなかった」「変だと言われた」など、何かつまずきがあって、怖くなって絵が描けなくなった子もいます。小さいながらに傷ついて、人の目を気にしているのです。そういうことがない教室にするのが牛嶋さんたちの理想です。「美術が鑑賞するだけのものではなく、自分自身が作る側になれるし、そうしたら生活が楽しくなるということを伝えたい」と話します。
その場所の良さを引き出すような作品づくりを
もちろん、遊具製作の依頼や、美術館などのキッズスペースのデザインなど、屋外だけでなく屋内の新しい仕事も増えてきています。「プレイグランドプロジェクト」は日本公園施設業協会と国が定めた公園施設製品整備技師・公園施設点検技師の資格も有しているので、屋内の遊具も屋外遊具と同じように、安全に遊べるよう製作・点検できるのが強みとなるでしょう。
変わらずに大切にするのは、遊具が設置される場所の良いところを引き出すこと、プラスの面を見てもらうことです。そこに集う人のことを考え、触れることによって「景色がいい」「環境がいい」など、遊具のある場所の良いところがポジティブに作用するのを願ってつくり続けていきます。そしていつか……水害を乗り越え、田主丸でもいつか美術展や芸術祭が開催できれば、と夢を描いています。