知ると知らないでは大違い! DPマフラーは交換の前にまず洗浄

有限会社ユウキ
福岡県久留米市田主丸町豊城102
■代表者: 小野 詠吏
■創業: 平成16年1月5日
               
■補助金採択日: 令和1年7月31日
■TEL: 0943-74-7000
             
■支援内容: 小規模事業者持続化補助金

立ち止まらない、チャレンジ企業

有限会社ユウキは、土木工事や構造物補修工事、外壁調査やフイルム工事などを行ってきました。現在は、建設資材の販売や補修関係の仕事など、幅広く手掛けている。建設資材の販売に関しては10年以上前から続けているが、最近では高品質で安価なコアビットを販売するなど、独自ルートの仕入れによる差別化を図っている。
「回転が早い時代ですから、本業だけでなくもう一つの柱を持っていたい」と、代表の小野さん。「単に私が新しいもの好きなだけかもしれませんが…」と笑うが、他業者に先駆けて建設資材のネット販売にも乗り出している。ネットでは北海道や沖縄からも注文が入る。「とても自分では営業に行けない場所です」と、小野さん。売上も徐々に上がってきており、今後に益々期待がもてる。

動き続ける事業者の次なる一手

チャレンジを続ける小野さんの次なる新規事業は「DPマフラーの洗浄」だ。DPマフラーとは、排気ガスに含まれる有害物質を捕集・除去する装置のこと。環境意識の高まりと共に排ガス規制が進んだ結果、今ではほとんどのトラックに取り付けられている。DPマフラーの中ですべて燃えれば良いのだが、どうしても微細な金属原子の燃えカスが残ってしまう。これらの微細な燃えカスがDPマフラーに詰まり、最終的には、ランプが点灯し速度制限され走行を続けると故障につながります。DPマフラーは新しいものに交換することが可能で、これまでほとんどの運送会社がそうしてきた。しかし、「ユウキ」ではDPマフラーの洗浄を提案することで、DPマフラーの寿命を延ばし、運送会社の負担軽減に寄与したいと考えている。




補助金の活用について教えてください

「運送会社様の経営を下支えするDPマフラー洗浄事業の広告強化」です。運送会社のトラックに取り付けられているDPマフラーが詰まると速度制限がかかり、途中で止まることもあります。高速道路で止まった場合はリスクが大きいですし、何より荷物を運んでいる場合は遅延の賠償問題になります。さらに溶損してしまったDPマフラーは交換しなければならず、その場合、部品と工賃で50万〜100万円ほどかかります。あまりにリスクと負担が大きいため、大手運送会社ではすでにDPマフラーの洗浄に着目し、その体制を整えています。しかし、中小の運送会社さんが自社で洗浄までを行うのは難しいため、「なんとか力になれないか」と考えたのが始まりです。
通常、DPマフラーの洗浄にかかる費用は5万円〜10万円ほど。これでも交換に比べると1/10の費用で済みますが、うちでは大型車なら6万円、小型・中型車なら5万円と業界最安レベルで設定しています。また、持ち込みから洗浄まで1日〜2日ほどで仕上げられるのも、うちの強みです。運送会社さんはできるだけ多くのトラックを稼働させたいわけですから。
DPマフラーの洗浄を始めて、約3年が経ちました。今までに洗浄したDPマフラーは今のところ100%稼働中で、お客さまからは「車の調子が良くなった」と言っていただくこともあります。今までクレームもなく、ディーラーさんや整備工場さんからも「安心して紹介できる」と言っていただいています。

補助金の活用法は?
「運送会社様の経営を下支えするDPマフラー洗浄事業の広告強化」として、専門サイトを開設しました。まだまだDPマフラーの洗浄を知らない運送会社さんがたくさんあります。そういった方々に、交換ではなく、洗浄という手段があるということを発信したい。洗浄するだけで何年も走れるようになるのですから、ぜひ皆さんに知っていただきたいと思っています。
おかげさまで反響もあり、サイトを見た整備会社の統括部長さんが訪ねて来られました。取引先の運送会社さんたちに紹介していきたいと。洗浄すればコストダウンできるということを、もっともっと広めて行きたいですね。

今後の活動について
今後はDPマフラーのリビルト品を積極的に手がけていきたいと考えています。解体業者や中古車屋さんから仕入れた中古のDPマフラーをキレイに洗浄して、リビルト品として売っていく準備をしています。中古のDPマフラーは仕入れ後、溶損等の確認を行い、きちんと一定の品質を保ったリビルト品として、格安価格で販売していきたいと思っています。

最後まで環境に優しいユウキの洗浄

DPマフラーの洗浄を行うに当たり、どうすれば効率的か、どうすればキレイに汚れが落ちるか、いろいろ工夫してきました。お客様からの評判も良く、運送会社さんだけでなく、ディーラーさんや整備工場さんからもご依頼いただけるようになりました。
しかし、もともとDPマフラーは環境のために取り付けられたもの。洗浄した後まで責任を持って処理したいと思っています。
うちでは洗浄水の処理に凝集剤を使っています。汚水を撹拌させながら凝集剤を入れると、汚れと水がキレイに分離されます。きれいな水だけを排水し、汚れは産業廃棄物として処理しています。
汚水をそのまま排水したら、その汚れはやがて川に流れ込みます。川は海へと直結しているわけですから、汚れた魚を自分たちが食べることになる。それに何より将来の子どもたちのために、いい加減なことはしたくないと思います。

小規模な運送会社の力になりたい

ユウキの経営方針は二つ。まず一つが、福岡県内の小規模事業者から支持される会社であること。そして、事業を通じて社会に貢献できる会社であること。まさに今回の新規事業は代表の小野さんにとって、深い思い入れのある事業。「交換すると50万〜100万円はかかります。これだけの利益を出すには、荷物をどれだけ運べば良いのか」。小野さんがポツリとこぼした言葉に、その思いが滲む。
ネット通販の隆盛により、運送会社の需要は高まるばかり。しかし、過剰な送料無料サービスによる利益率の圧迫、人材不足や整備費用の増加など、運送会社の負担は増えるばかりである。そんな運送会社の負担を少しでも軽くしたい。とくに、メンテナンスに費用を割けない小規模事業者の力になりたい。新事業の裏には、小野さんの切なる願いが込められている。

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