補助金でつくった看板で視認性が向上、来店客数が増加

カギのたていし
福岡県久留米市田主丸町志塚島660-3
■代表者: 立石 勝
■創業: 平成7年8月24日
               
■補助金採択日: 令和2年8月7日
■TEL: 0943-72-2257

24時間対応するカギのスペシャリスト

「カギの専門店」として、合鍵製作、交換、取り付け、修理、24時間対応の開錠など、カギにまつわるあらゆるサービスを手がける、「カギのたていし」。田主丸町を拠点に、北は大野城市や筑紫野市、東は大分県日田市、南は八女市や熊本市までをカバーし、お客様の困りごとを解決している。
もともとは酒販店だったが、周囲にディスカウントストアが増えたことで徐々に売上が減少。ちょうど「カギの専門店を始めてみないか」と誘いがあり、代表の立石勝さんは業態を大きく変更することにした。当初は合鍵づくりのみのサービスだったが、のちに福岡市内のカギ専門店に勉強に行き、開錠や取り付け、交換など技術を身につけ、さまざまな依頼に対応できるようになったという。

専門店の技術力でどんな依頼にも応える
住居の開錠、車の合鍵づくりなどは日常的に依頼が入る。中には、バイクの鍵穴内にあるピンがすり減り、カギが回らなくなった、運転中にカギが抜けた、と駆け込んできたお客様もいた。印象深いのは、「合鍵をつくりたいのに、どこに持っていっても断られる」と話すお客様が来店したことだ。輸入バイクの珍しいタイプのカギは、ブランクキー(カギの基盤)がない場合も多い。そういう時、立石さんは似たブランクキーを使い、元のカギと同じ形に加工していく。専門の職人にしかできない技だ。お客様は合鍵ができたことがとても嬉しかったようで、それから何度も笑顔で来店してくれるという。立石さんの技術にファンがついているのだ。

防犯性の高い最新のカギにも対応

住宅におけるピッキング被害がクローズアップされるようになってから、カギをディンプルキー(防犯性の高い丸い穴の開いたカギ)に変更する人が増えている。ディンプルキーの合鍵は、専用のマシンがないとつくることはできず、カギの専門店でしか対応できない。他にも、スマートフォンで開閉できるスマートロックやカードキー、指紋認証、暗証番号を押すタイプなど、立石さんは依頼があれば全て引き受けている。
モットーは、「一つひとつを丁寧に、大事に」。一度カギの交換に行くと、再び連絡がきて次の依頼につながることも多く、訪れた時の印象やきめこまやかな対応などを大事にしている。依頼件数で最も多いのは合鍵づくりで、次が開錠、そして交換と続く。取引金額で言えば、交換が最も多い割合を占めるが、このコロナ禍で交換は著しく減少したという。  ただ、一時的には減少したものの、全体的に見るとホームページをきっかけに徐々に顧客が増えている状況だ。さらに、来店客数を後押ししたのが、補助金で製作した看板である。視認性の高い看板をきっかけに、新たな顧客の獲得に挑んでいる。




補助金を申請したきっかけは?

店の場所がわからないお客様が多かった
私たちの店舗には看板らしい看板はなく、店先に小さなペナントを下げ、そこに「カギのたていし」と示しているだけでした。だからお客様は店舗がどこにあるかわからずに、電話で尋ねられることが多くありましたし、中には駐車場に車を停めて、電話をかけてこられた方もいました。店舗はすぐ横にあるというのに……。
近所の方には知られていても、遠くから来店される方にはわかりにくい。競合他社は田主丸町に1軒、久留米市中心部に3~4軒、そのほか全国展開するチェーン店もあるのに、当店は目立たなく感じました。看板が店舗にないのはおかしい。看板を取り付けたい。そう考えていたときに、田主丸町商工会から事例集をもらい、私たちにも何か活用できる補助金はないかと思うようになりました。

補助金申請書をつくってみて良かったこと

商圏内の競合他社や異業種の看板に意識が向いた
普段は、目の前の仕事を一つひとつ取り組むだけなのですが、補助金申請書作成をきっかけに、他社はどのような看板でPRしているのか気にするようになりました。ある時、たまたま国道を車で走っていると、コインランドリーの看板が目につきました。かなり大きなものでパッと目に付き、イラストが入ってわかりやすい。「これだ」と思いました。私たちの店舗も国道沿いにあるから、運転手からの視認性を高めるには看板は大きいほうがいい、と考えたのです。出来上がると、文字は見やすく、赤・青・黄色の鮮明な色合いが目立ちます。以前より格段にわかりやすくなりました。

看板をつくってみて、お客様からの反応は?

通りがかりのお客様が増えました
まず、駐車場からの問い合わせの電話はなくなりました。視認性が向上したおかげで、「あそこを通ったらカギの専門店がある」と知ってもらい、「知り合いから聞いてきた」と来店される方もいらっしゃいました。また、以前はいなかった通りすがりの立ち寄り客が増えています。カギ専門店は、目立たない店も多いため、補助金を得て看板を新しくしたのは大正解でした。さらに、当店は駐車場が広いこともあって、大型トラックの運転手さんも来店してくださいます。

ホームセンターへの営業活動にも力を入れたい

今は日々、お客様からの要望に応えたり、無料で防犯対策のアドバイスをしたりしているという立石さん。今後の展開を聞くと、2021年8月で完全に閉業した酒販部分の有効活用と、ホームセンターへの営業活動を挙げた。
 合鍵づくりは専門店だけでなく、ホームセンターでも請け負っている。がしかし、ホームセンターで扱っているカギは、ごく一般的なギザギザのカギ(シリンダーキー)だけだ。しかも、多数種類があるシリンダーキーのなかでも、需要が高いものだけしかつくることができない。「実は、ホームセンターで合鍵がつくれなかったので来ました、とおっしゃるお客様は多いのです」と立石さん。さらに、仮にホームセンターでつくれたとしても、鍵穴と合わないこともあるという。だからこそ、ホームセンターで働く方々にも「カギのたていし」を知ってもらい、困っている方々を紹介してもらえたら……と考えている。

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