田主丸町から全国に、海外に、日本のお酒の魅力を発信

後藤商店
久留米市田主丸町恵利1149
■代表者: 後藤 芳広
               
■補助金採択日: 2021年12月22日
             
■支援内容: 小規模事業者持続化補助金

事業内容

地元福岡、そして九州を中心に、全国の銘酒を取り揃える酒販店。味にほれ込んだ蔵元には直接出向いて話し、契約が決まった後は互いに行き来して販売方法や事業展開を開示することで信頼関係を築いている。

About us 会社概要

全国の銘酒が勢ぞろい!
「後藤商店」の店内に入ると、九州を中心に全国の蔵元やワイナリーの日本酒や焼酎、ワイン、そして限定の逸品がずらりと並びます。その品ぞろえたるや「自分で飲んでも、誰にあげても間違いのない」セレクト。店主の後藤芳広さんの目利きに驚くばかりですが、「実はもともと、醬油製造販売をしていたんです」と後藤さん。
私が実家に戻って、文房具から食材から駄菓子までなんでもある町の雑貨店になり、はたまたコンビニエンスストアになり…試行錯誤を経て、10年ほど前から徐々に“酒のセレクトショップ”の形態をとるようになったそうです。

実際に互いの現場を見学し、信用を築く
「お酒のセレクトは、自分たちで飲んでおいしいと思ったお酒の蔵元や、お客様から『素敵なつくり手がいる』と教えていただいたところに見学に行き、つくり手とお話ししています。さらに、つくり手の方々にも私たちの店舗にも来ていただいているんです」と後藤さん。どのような店づくりをしているのか、どういったビジョンがあるのか実際に見ていただき、売り方や売値も含めて合意に至れば契約を交わします。長く付き合っていくからこそ、信頼関係が重要。そうやって信用を築いた現在、約30ものメーカー・蔵元と直接取引をしています。
また、「後藤商店」ではイベント開催も盛んです。「敷地内にある醤油蔵は倉庫として使っていて、壁はボロボロ、床は土間で泥だらけ、荷物が散乱している状態でした。そこを片付けて改装し、庭も整えました」。近郊の蔵元や、宮崎、鹿児島、新潟からもビールや日本酒、焼酎のつくり手を招いて、食事とお酒のマリアージュを楽しむイベントを行ったそうです。ここ数年は一旦イベントは中止し、その後密にならないよう形態を変え、開催する中でどうしても足りないものもありました。そこで、持続化補助金に申請したのです。




Sustainability 小規模事業者持続化補助金

●田主丸町商工会とのつながり
以前、経営革新計画書を作成したことがあります。今回の持続化補助金を申請後、田主丸町商工会主催のSNS活用無料講座に参加して、SNSとECサイトを整えていこうと考えているところです。

●日本酒は品質管理が繊細
日本酒は加熱処理を2回することで、酵素や酵母、火落ち菌などをなくすのですが、今の流行りは加熱処理1回だけの「1回火入れ」。生の要素のある日本酒で、それを仕入れられる保管環境がありませんでした。また、コロナ禍もあり、お客様には食事を出さずに冷蔵庫からおつまみを買っていただくのですが、イベント用の冷蔵庫も足りず、新たな取り組みとして申請しました。

●年末商戦に向けたチラシを作成
イベントができない時期は、お客様に向けたギフト商品案内のチラシをつくりました。ダイレクトメールで800~1000名様ほどにお送りしています。

●今後の展開
冷蔵庫から自由におつまみを買っていただき、敷地内の庭でお酒の飲み比べを楽しむ…コロナ禍を経た今に合わせたイベントを実施し、国内のみならず、海外のお客様にも日本酒や焼酎、日本のワインの魅力をお伝えしたいです。また、蔵の部分でも販売できるよう、拡張できればと考えています。

Future その後の展開と未来への展望

流通量の少ない幻のワインも並ぶ
現在、著名なワインの卸売会社とコラボレーションした、ワインをはじめとする地元や九州のお酒が楽しめるイベントを進めているところ、と後藤さん。やはり、個性を出すには「“ここならでは”の品ぞろえも大事」だと話します。「たとえばこの、日本酒『柴刈』もそうです。『後藤商店』のある柴刈エリアの農家さんがつくった米で、田主丸町の『若竹屋酒造場』が醸造するこの日本酒は、私たちの店舗しか取り扱っていません」。
その他、宮崎の都農ワイン、ナチュラルワインの草分けと言われる山梨の共栄堂など、取引に至るまでが難しい、と言われるワイナリーの商品も揃うのは、ひとえに後藤さんの情熱に他なりません。紹介で生まれたご縁を大切に育み、時には熱量をもって門戸を叩き…全国でも500本ほどしか流通しない貴重なワインが、「後藤商店」には並ぶのです。

日本が生んだお酒の面白さを伝えることが使命
もともと身近にあった自然が好きで、自然が好きだからこそ、菌や麹、酵母など自然の力を活かしたお酒が「体に抵抗なく、すっと入ってくるから、自分には合っていると思います」と話す後藤さん。「お酒は国酒です。農家の方がつくった農産物と、日本の豊かな自然が生んだきれいな水が生んだもの。水一つで全く違う味わいになりますし、その面白さを正しく伝えるのが私の使命だと感じています」。
後藤さんは「よくこの田舎でやっているね」と、何度か言われたそうです。続けて「田んぼにポツンとあるようなこの店で後藤君が頑張ることで、田舎で頑張っている酒販店を勇気づけるかも」と。「日本ソムリエ協会SAKE DIPLOMA」「唎酒師」「焼酎唎酒師」「ワインコーディネーター」の資格を取得し、すでに運用しているInstagram(インスタグラム)だけでなく、YouTubeも活用したいと計画を語る今、「地元の料理ときちんと温度管理された地元のお酒、地元でつくった器にグラス。そういった空間をつくるためにも資格がほしかったんです」と後藤さん。国内外に日本のお酒の魅力を、ここ田主丸町から発信していきます。