状況を逆手取り、家族向けの新規事業をスタート!

株式会社 巨峰ワイン
久留米市田主丸町益生田246-1
■代表者: 林田 浩暢
               
■補助金採択日: 2021年12月23日
             
■支援内容: 新たな観光地域づくり補助金

事業内容

巨峰ぶどうの開植地の田主丸町で、巨峰ぶどう生産者の将来の生活安定のため、そして地域発展のために会社を設立。巨峰をふんだんに使ったワインのほか、ブルーベリーワインやフルーツワインも手掛けている。

About us 会社概要

日本初、巨峰の植栽に成功した田主丸町の挑戦
九州で2番目に設立された、老舗ワイナリーの「株式会社巨峰ワイン」。日本で初めて巨峰の植栽に成功した田主丸町の農家のうち、1軒が現在の巨峰ワインの敷地で林田農園という名で農園を営んでいたことから、風光明媚なこの地での事業がスタートしました。
創業者の林田伝兵衛さんが「美味しい巨峰からワインができないか」「この地域に根ざすために、特産品としてワインを作ったらどうか」と発案し、大阪大学で学んだ発酵工学の知識を活かしてワインづくりを開始。開発は困難を極め、商品化までに10年もの歳月をかけたと伝わっています。
商品化のめどが立ち、1972年に満を持して創業。巨峰ワインだけでなくブルーベリーワインやフルーツワインなど常時10種の商品を手掛け、今やその名は福岡県外にも広く知られるところとなっています。

観光がダメなら体験を――新たな施策を提案
広大な敷地に醸造所、店舗、レストラン、バーベキュー施設などを擁する巨峰ワイナリーには、年間8万人ものお客様が来園していたそうですが、2020年に大きな打撃を被ります。8割を占めていた観光客のうち、団体ツアー客が全く来なくなり、韓国、中国、シンガポールなどのインバウンドはゼロ、客足は一時、半分にまで減りました。また、アルコールを飲む、という行為にも心理的な足かせがあり、強くアピールできなくなりました。
さらに年4回開催し、毎度定員オーバーするくらい人気だった「ワインの森」イベントや季節の祭り、ボジョレーヌーボーの時期の催しも中止。「このままではいけない」とスタッフの相良武士さんをはじめみんなで考え、これまでのイベントに代わる新しい試みを模索しました。このタイミングで田主丸町商工会にも相談し、「新たな観光地域づくり補助金」があると聞き、申請に至ります。




Tourism development 新たな観光地域づくり補助金

●事業計画
これまでの経験から、さまざまなフルーツを醸造する技術・ノウハウをもっていたため、さまざまなフルーツを使ったクレープづくり体験を提供しようと考えました。やはり、アルコール関連のイベントは難しいため、スイーツづくりに舵を切ったのです。

●ターゲット層
ワイナリーや酒造は中高年層が多く訪れますが、巨峰ワインには30~40代の家族連れがボリューム層です。家族一緒に、お子様でも楽しめる体験は何かと考え、その場で手軽に食べられ、持ち帰りもできるクレープづくりに決めました。

●体験は「気軽さ、ポップさ」を打ち出す
ワイン造りの歴史がありますから、もちろんのこと、フルーツソースにもこだわりはあります。しかし、こだわりすぎるとお客様への押しつけになるので、王道の味は守りつつ市販品も活用する自由度を重視しました。

●相談することで道が開ける
支援事業があるとは知らず、たまたまワイナリーに立ち寄ってくださった田主丸町商工会のご担当者に「こういう事業を考えている」と話したところ、ぴったりの補助金を紹介していただきました。いつも、自分たちではわからないことも教えてもらえるので、抱っこにおんぶです(笑)

●その他の取り組み
インターネットが苦手な世代の個人のお客様向けに、DMでの通販事業も始めたところ、手ごたえを感じました。当社の商品を応援してくださるお客様の存在を知ることができ、さらにすそ野を広げたいと思った出来事でした。

Future その後の展開と未来への展望

家族総出でクレープづくりを楽しむ
クレープづくり体験をスタートしたところ、週に数件のペースで予約が入り、「久留米まち旅」という体験プログラムにも載せたところ、4日間が満席となる盛況ぶりでした。お客様は三世代で来られ「フルーツがたっぷりで良かった」「焼きたてはこんなに美味しいんですね」などの声が寄せられたそうです。また、店内で体験を始めると周囲に甘い香りが漂い、別のお客様の予約が入る、といった良い循環も生まれたと相良さんは話します。

地域の方々も大切に、新たな一手を
観光客が来なくなったこの2年間、「株式会社巨峰ワイン」のスタッフは、普段は農家のみなさんに任せているぶどうづくりも手伝っていました。どのようにぶどうができ、商品化され、お客様のもとへ届くのか…。「実体験で得た感覚が、接客に生かされている」と相良さんは言います。その他、ハロウィンの季節にはパートの方々のアイデアで、地元の保育所や幼稚園にチラシを配り、先着プレゼントを実施。コロナの一件で、「地元に密着した事業展開も大事」だと気づけたそうです。
今後はまだ“夢”の段階ですが、ぶどうの搾りかすからポリフェノールを抽出して、田主丸町に進出した企業とコラボレーションした商品を開発できないかと考えています。どんな時でも、状況に合わせて柔軟に発想する。まずはやってみる。そんな「株式会社巨峰ワイン」のパワーが、この現状を打破していくに違いありません。

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