国内トップレベルの技術力・発明力を生かす3D CADを導入

株式会社IPO
久留米市田主丸町石垣1365-1
■代表者: 丸山 健太
               
■補助金採択日: 2023年7月31日
■TEL: 0943-72-5500

事業内容

田主丸町に拠点を置く、飲料充填装置・検査機メーカー。国内トップレベルの技術で大手メーカーをもしのぐ充填装置を開発するほか、世界最高レベルの脱酸素技術で特許も取得している。食品メーカーと共同で長期保存食品の開発(OEM)も手がけている。

About us 会社概要

類まれな技術力を誇る充填装置・検査機メーカー
コンビニやスーパーなどでよく見るお茶や清涼飲料水などのボトル。このボトルに飲料を充填する装置や、ボトル・パウチなどの検査装置を独自に製作するのが、田主丸町にある「株式会社IPO」です。充填装置の大手メーカーをもしのぐ、1分間1600ボトルの充填を可能にする装置を開発し、かつ、世界最高レベルの脱酸素技術で特許も取得しており、その技術力は国内トップレベル。大手飲料メーカーがメインクライアントで、そのほか、食品加工会社や他業種からも検査装置の製作依頼を受けています。
各社が依頼する検査装置は「コーヒーのパウチの中の酸素量が見たい」「穴(ピンホール)がないか見たい」など、目的によってさまざま。装置を置く場所も会社によって異なり、海外の工場に置くケースもあるため、完全オーダーメイドでの製作となります。また、これまでの技術を生かして、他の食品メーカーと共同で長期保存食品の開発(OEM)をも手がけています。

設計環境を刷新し、わかりやすくミスが少ない設計を
多岐に事業を展開するなか、ネックになったのは、自社の装置設計環境でした。「他社では3D CADを使っているところが多くありますが、当社では2Dの製作環境のままだったのです」と、「株式会社IPO」の丸山さん。現在の設計環境は3D CADが多くなっており、お客様にも「(IPOの製作環境に合わせて)2Dに変換して送ってほしい」とわざわざ頼む必要がありました。お客様に手間をかけさせてしまうこと、2Dの設計図をもとに説明することで伝わりにくい部分ができてしまうことを危惧していました。
設計を3D CADに変更すると図面を三次元的に動かすことができ、お客様がどんな形のどのくらいのサイズの装置か想像しやすくなります。また、設計図の角度をさまざまに変え、装置の中まで立体的にチェックできることから、各段に説明が伝わりやすくなります。社内でも情報交換がすぐできる、設計ミスを事前に防げる可能性が増えるといったメリットがありました。環境がアップデートされれば他社とのやり取りがスムーズになって業務効率が上がるし、受注のチャンスを逃すこともありません。
例えていうなら、スマートフォン全盛の今、折り畳みの携帯電話を使っているようなもの――3D CADの導入は喫緊の課題と考えた丸山さんは、田主丸町商工会を頼りに連絡をしました。これまで何度も計画書をつくって補助金申請してきましたが、再び事業拡大を目標において、計画書作成に着手したのです。




Sustainability 小規模事業者持続化補助金

3D CAD導入後の業務について
2台導入され、もうすでに使いこなしている社員もいます。大幅にソフト自体が変わるわけではなく、コツをつかめばできる仕様なので、社員同士で教え合って新しい製作環境に移行できる準備を整えています。

計画書を作りながら、今後発展させていきたいと感じたこと
昔からのノウハウを他社に知られたくなかったというものあり2Dでやってきましたが、時代に追いつけていません。当社の良いところは、お客様に合ったものをすぐ作れて、一回やってみましょうとチャレンジするところです。3D CADの導入で今後の変化がなおさら楽しみになりました。

Future その後の展開と未来への展望

3D CAD導入で“発明力”を加速化
補助金を活用し、3D CADを導入したメリットは大きい、と丸山さん。これまではボルトのネジが数ミリ違う、穴の位置が違うなど、ほんの些細な、プロでも見つけにくい図面上のミスはありました。大小さまざまなパウチやペットボトル、缶といった、大きさ・仕様が全く違うものを検査するとなると、2Dだと想像しながらの設計になるのです。時間もかかるし、ミスがあると進行が遅れ、作り直すこともありました。これが3Dだと全体と細部を確認しながら設計できるため、短期間で完璧に仕上げることができます。「これまで微調整に予算を割いていましたが、3Dだとそれがなくなり、業務の効率化・予算削減につながります」と丸山さん。
「株式会社IPO」の強みは、依頼に対して次々とアイデアを出し、開発を進める“発明力”です。3D CADを導入したことによって、今後はお客様の「知りたい」をさらに明確にし、ミスが少なくなり、スピーディーな業務の進行が見込まれます。ミスが減れば、納期も短縮できるでしょう。「調整に時間がかかると、お客様の熱も冷めてしまうもの。そういったリスクも減らせる」と丸山さんは考えています。

海外展開も想定し、人材育成が課題
3D CADを導入したことで、新たに検査装置や液体窒素の充填装置といった開発も舞い込みました。なかでも代表がアイデアを出し、時間と予算をかけて作り上げた音と波形を使って解析・検査する装置は、再び特許を取得できるかもと期待しています。また、今は既存の大手飲料メーカーからの依頼がメインですが、中小企業、そして海外の小さい企業にも検査の需要があるはずなので、効果的に発信・営業ができればと考えています。
実際に海外からも少しずつ声がかかっており、「コロナ禍が収束して、経営状況は確実に好転してきている」と感じています。現在はインドネシアでの案件が進んでいるところで、今後はアメリカへのアプローチも視野に入れているのだとか。積極的な海外展開を考えた場合、どうしても社員を増やさないと業務がまかないきれないため、課題はやはり「人材育成」。「株式会社IPO」の主業務が独自の装置開発であること、他に類を見ない技術力を擁していることから、自社の魅力や強みを効果的にアピールしていくことが必要だと感じています。近いうちに魅力的な人材を擁し、世界レベルの技術力を持った会社が世界への扉を開く――そんな未来が見られるかもしれません。

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